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誰が僕を殺したのか
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あなたは僕が3歳の時に独りで泣いた姿を見ていてくれました。

誰にも届かない声を聞いてくれました。

僕はあなたに憧れ、あなたに近づきたいと思いました。

でも、それは叶わない事なのだとすぐにわかってしまいました。

 「僕はやっぱり独りなのだと思い知らされた」と、とても抱える事の出来ない波が来て、飲み込まれ、遠いところまで行ってしまいました。

 「僕を大事にしてやれるのは僕で僕は僕を裏切らない」

誰もいない海を泳ぎ出しました。
   
 僕は独りという事を少し楽しみながら、少し脅えながら、あなたを想いながら、進んで行きました。

けど、いっくら泳げど何も見えず「オカシイなー?」と感じてきたのは泳ぎ始めて随分経った時でした。

 僕は運よく流れてきたボートに乗りこみました。少し安心感を感じました。

ボートには無線機と僅かな水とナイフと竿がありました。餌はありません。

僕はずっとお腹が空いてました。なので無線機には目もくれませんでした。

とにかく満たされたいと思った僕は魚を釣り始めます。しかし、餌がないので魚は獲れるはずもありませんでした。

苛立だった僕はナイフで僕の身体の一部を切り、餌にしました。

そうするとすぐに手ごたえを感じたので、引き揚げるとこの世のものとは思えない形相の深海魚でした

 僕は躍起になってまた自分の身体を切って魚を待ちました。次も同じでした。その次も・・・。

僕は飢えでだんだん壊れていきました。身体が悲鳴をあげました。僕も悲鳴をあげました。

スゴクスゴク痛かったのです。苦しかったのです。自分の愚かさと痛みに泣きました。

でもそんな僕が辿りつける場所もなく、僕は僕の世界で僅かに息をしているだけでした。

僕は無線機を取り、声にならない声で助けを呼びかけました。

僕は薄れゆく意識の中でその時に初めて僕に気がついて欲しいと言ったはずです。

そんな僕をあなたはずっと見てました。

僕はあなたに隠されて見つかることがないまま僕の世界を終わらせました・・・。
                   
                   
                   
                      
by mashup-intoyou | 2008-02-23 06:21
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